――インドから帰国し、ayaさんはヨガインストラクターに。そこに至るまでの過程はどのような感じだったのですか?「自分の人生を見たときに、唯一長く続いていたものがヨガなんです。インドに行ったりとか、ライセンス取ったりとか、やっぱり投資もしているので、ヨガを職業にしてみようかなと考えるようになりました」
――生徒さんに教えるときに一番大事にしていることは?「私の職業は『お医者さんにできないことをする』ということなんだという意識です。私はアメリカのヨガもインドのヨガも両方見てきて、10年前からこの考え方は変わっていないし、きっと15年後、20年後も変わらないです」
――“医者にできないこと”とは?「お医者さんはレントゲンを撮ったりCTを撮ったりして、画像上で診断をして、痛みを和らげる薬を処方する。私たちにそれはできません。でもお医者さんにもできないことはある。それは「筋力チェック」です。痛みが発生しているのはどこの筋肉で、どうなっているのか。下半身の筋力は…そういった数字上のことは病院で診察ができると思いますが、筋力だけでは見えない筋力チェックをできるのが、私たちトレーナーの大きな強みなんです。
たとえば、下半身の筋力。太ももの内側の使い方が悪く、外側ばかり使っていたら足の外が貼って骨盤が歪む。よって腰が痛む…という症状が見えてくる。なぜその症状が出るのか、筋力チェックをしながら“大元の改善”をしていきます。薬や手術で痛みを抑えたり、止めたりするのではなく、ヨガでは痛みの根源が何かということを見抜く。それを改善という方向に向けていく職業なんです。そこがもう私が一生ブレることがない部分です。みなさんのさまざまな悩みの改善をポリシーに、いろんなメソッドを作っていくという形になります」
――医療とヨガ、それぞれ役割が違う?「私は西洋医学も東洋医学もどっちもアリだと思っています。お薬を絶対に飲まないでくださいなんて言わないですし、痛みがあるんだったら飲んだ方がいいですよって。だけど、役割が違うということを、もうちょっと日本のみなさまが知ってくれたら、未病を防ぐこともできるかなと感じます」
――医療とヨガの領域が密接に連携できると、有益に?「そうです。伝統的なヨガも素晴らしいですし、だからといってほかのものが悪いわけではない。それを融合させて現代の人の体により良く影響されるものだったらいいかなと思いながら伝えています。今は多様性と言われている時代で、どの先生も自分の得意分野があって、各分野のプロフェッショナルだと思うんです。そういった方々と自分では補えない知識や経験、いろんなことを組み合わせて、何かを発信していきたい。業界的に、ヨガ、フィットネス、トレーナー、マラソン、水泳みたいに、スポーツって結構別れているんですよ。それはそれで伝統ですし、プロフェッショナルが個々としてやるにはいいですけど、一般の方が美と健康のために行うというところに着目すると、もうちょっとその壁を和らげることができればなと。プロフェッショナルの人たちが一般の方々に伝わりやすいような発信できたらいいなって思っています」
――ayaさんにとってヨガはどのようなものですか?「これからまたいろんな意味で進化していくジャンルなのかなと思います。ヨガはインドが発祥で、紀元前2000年以上も前からあると言われていて、やっぱりそれだけ残るということは、それだけ素晴らしいものでもあると思うんです。ただ逆に言うと、紀元前2000年前にヨガのポーズにしても考え方にしても、今の現代的な医学とか解剖学的な要素が入っていたかというと、これ後付けしたものなんですね。そうじゃなかったら、エジプトの人たちはもっと長生きしてもおかしくないので。
なので、今までチグハグしていたものが、東洋医学、西洋医学というものを、上手にバランスよく取り入れてきたときに、世の人にもう少し浸透して広がるような感じになるのではないかなと思っています。」