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チョッキ、ベストよりも「ジレ」がおしゃれに聞こえる…なぜファッション用語は生まれ変わる? 専門家に聞いた

2023-08-17 eltha

定番のシンプルなジレ。シングルタイプのノーカラー、ミドル丈のジレセットアップに、細かい柄のブラウスを合わせてオフィスぎとしても使いやすくなっている(※商品は順次発売予定)

定番のシンプルなジレ。シングルタイプのノーカラー、ミドル丈のジレセットアップに、細かい柄のブラウスを合わせてオフィスぎとしても使いやすくなっている(※商品は順次発売予定)

 数シーズン前から、雑誌でも店舗でもたびたび見られるようになった「ジレ」。ここ最近流行っているけれど、「どう着るのが正解なの?」「ベストとの違いは?」と着こなしに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。今回は、なぜ「ジレ」という言葉が定着したのか。仕事服としてジレを取り入れるコーデ例、選び方のポイントを青山商事の相良由里恵さんに解説してもらいました。

オフィス着から普段着まで、ジレの着こなし【コーディネートを見る】

  • シングルタイプのノーカラー、ミドル丈のジレセットアップに、細かい柄のブラウスを合わせています。定番でシンプルなデザインでオフィスでも使いやすいです。
  • シングルタイプのノーカラー、ミドル丈のジレセットアップに、細かい柄のブラウスを合わせています。定番でシンプルなデザインでオフィスでも使いやすいです。
  • ニットベストに流行のボリュームのあるスリーブのブラウスを合わせています。
  • ニットベストに流行のボリュームのあるスリーブのブラウスを合わせています。
  • ワンピースとしてもジレとしても着用できる2WAYタイプ。薄手のニットと合わせ、ワンピーススタイルではアクセントにスカーフを巻いています。
  • ワンピースとしてもジレとしても着用できる2WAYタイプ。薄手のニットと合わせ、ワンピーススタイルではアクセントにスカーフを巻いています。
  • 襟があるタイプのジレセットアップに大き目のボウタイブラウスを合わせて、かっちり見えするコーディネートにしています。
  • 襟があるタイプのジレセットアップに大き目のボウタイブラウスを合わせて、かっちり見えするコーディネートにしています。
  • 定番でシンプルなデザイン

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“認識を広げるため”「日本でしか通じない言葉の置き換えが生まれている」

ベストのイメージ

ベストのイメージ

 「ジレ」は「袖がなく前開きになっている中衣」のこと。フランス語で「gilet」と言います。「ベスト」の語源は、アメリカ英語の「vest」。日本では「ベスト」はアウターとして着用するもの、より装飾性の高いもの。「ジレ」はあくまでインナーとアウターの間に着用する“中衣”という認識が強かったですが、今ではその区切りが明確になされているわけではありません。「ジレ」と呼ばれるアイテムにも、上質な生地を使ったもの、装飾のあるもの、アウターとして着られるものが多々登場しています。

 日本には同じく袖のない胴着をさす「チョッキ」という言葉もあります。チョッキよりもベスト、ベストよりもジレのほうが、おしゃれな印象を持ちますよね。呼び方の移り変わりには諸説ありますが、「チョッキ」や「ベスト」というと、どうしても中年男性が着用しているイメージが強い。その点「ジレ」は新しい用語としての印象があるので、その言葉に置き換えることによって女性層や若年層に認識を広げ、差別化することができます。

「新しい言葉が生まれるのはトレンドを作るためという見方もできますが、個人的には一般の人でも海外のコレクション情報やトレンド情報をダイレクトに入手できる時代になったからこそ、日本でしか通じない言葉からの置き換えが生まれているのではないかと考えています。チャックは日本語、ファスナーは英語。スパッツは和製英語、レギンスは英語。ズボンは日本語、パンツは英語というように」(相良さん)

コロナ禍で“オフィス着”の定義も変化、「心もとない時のお供としてジレが定着」

 「ジレ」がファッションアイテムとしてトレンドになった背景には、「コロナ禍でオフィスに着ていく服装に変化が見られたこと」が一番の理由と相良さん。

「ジレというアイテムはこれまで“オシャレアイテム”としての位置づけでしたが、コロナ禍でオフィススタイルの服装に変化(テレワークの増加、オフィスウェアのカジュアル化、服装の自由化など)があったこと、長い自粛生活での体型変化によりジャケットを着る程ではないけど…というシーンでカットソー1枚、ブラウス1枚ではなんだか心許ない時のお供として、便利さに気が付いたことがトレンドに繋がっているかと思います」

 ジャケットに準ずる“きちんと感”、ウエストやヒップの気になる部分を適度に隠せる“体型カバー効果”があるジレ。私服としても、仕事服としても使えうことができ、着用した時にそれとなく醸しだされる“こなれ感”もポイントだといいます。

「コーデにも変化をつけやすいです。同窓会や会食など、きちんと決めたい場面で活用しやすい。羽織ものとして、ジャケットを検討される方もいらっしゃるが、シーンによっては堅苦しすぎる見え方も。ジャケットより気軽で動きやすく、きちんと感、フェミニンな印象など。オシャレ感、変化つけやすいということも言えるかと思います」

・コーデのおしゃれ度があがる
ジレは、シンプルなTシャツやシャツに合わせるだけでグッとおしゃれ度が上がります。流行のボリュームのあるスリーブにも合わせやすいです(袖がないジレはごわつかないため)。また、色や柄を変えるだけで印象が変わります。季節感や気分に合わせてコーデに変化をつけられるので飽きません。
・体型カバーに効果的
ジレは、背肉や肩幅、バストライン、腰回り、お尻、太ももなど気になる部分をカバーしてくれます。また、縦長のラインを作ってくれるのでスタイルアップ効果もあります。自分に合った丈やシルエットを選べばスマートに見せられます。
・仕事服としても使える
ジレは、仕事服としても使える便利なアイテムです。セットアップとしてジレと同素材のパンツを合わせれば、フォーマル感が出ますし、カットソーやデニムに合わせればカジュアルダウンできます。また、オフィス内で温度調節がしやすいのもメリットです。

今後ジレは「定番アイテム化」、1枚買うなら…選び方を解説

 数シーズン前から見かけるものの、「どうせ“トレンドアイテム”では?」「長くは着られなさそう」と購入を躊躇する声もありましたが、「ジレ」は定番アイテムになりうるのでしょうか? 

「適度なきちんと感と体型カバーができるというニーズは完全に実需アイテムになっていると言えます。置きジャケならぬ、置きジレとして活用しているという話も聞きます。よりジャケットライクなものから、シャツ派生、ニット派生と様々なスタイルが出てきながらもしばらく定番アイテムとして続くと考えています」

 様々なシーンで使える「ジレ」。最初の1着を選ぶなら、一過性のデザインではなく、定番アイテムとして長く着られるアイテムを選びたいもの。どんなポイントをおさえておくべきなのでしょうか。

・素材
様々な素材が出ていますが、奇をてらったものではなく最初はベーシックなものを選ぶのがおすすめです。春夏なら、綿や麻などさらっとした素材が涼しげでおすすめです。秋冬は、ウールやカシミアなど暖かくて上質な素材が高級感を出してくれます。また、ストレッチ性のある素材やウォッシャブルな素材も動きやすくて便利です。

・色
万能なのは、「ネイビー」。仕事服としても、子どもの学校にも着ていくことができます。キレイめな印象、優しげな印象を出したいなら「ベージュやブラウン」。セットアップとして同素材のパンツもそろえておくことで、コーディネートの幅も広がります。

・型、サイズ感
ヒップが隠れるくらいの丈感で、ノーカラーのシングルタイプが一番万能で着る方を選ばないデザインです。また体型カバーにおいては、ミルド丈でも一番隠したお腹やヒップ周りは十分カバーできます。Iラインの強調もされるので、コーディネートも合わせやすい丈感です。(コートの長さも気にせずに着れます)

 ジレは、コーデに変化をつけたり、体型カバーにも効果的なアイテムです。ワンピースやスカート、パンツなど様々な着こなしを楽しめます。素材や色やサイズは、定番の形を季節感や肌色、体型に合わせて選んでいくがポイントです。ジレを上手に着こなして、おしゃれでスタイリッシュな印象を与えましょう。
相良由里恵(さがらゆりえ)

監修者 相良由里恵(さがらゆりえ)

2019年入社 THE SUIT COMPANY横浜西口店など店舗で4年勤務したのち、今年5月より、TSC営業部 プレス担当として勤務。色彩検定3級所持

公式オンラインストア:https://www.uktsc.com/women/?cm=1
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