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森尾由美、祖母として娘夫婦の子育てで感じた羨望と気づき「ママがハッピーなら子もハッピー」

2023-03-18 eltha

 82年、16歳でデビューして以降、時に俳優として時にタレントとして活動し、今年の5月5日には、歌手デビュー40周年を迎える森尾由美。昨年は結婚30周年や、初孫誕生など、プライベートでまた1つ人生の転機を迎えた。「アイドルが結婚したら需要がなくなる」セオリーを乗り越え、仕事と育児の両立に奮闘したこれまでから、娘夫婦の育児から気づかされたことまで、母として、祖母として森尾が今感じる子育て観について話を聞いた。

「仕事と育児の取捨選択は出来なかった」事務所を説得し、産後1ヵ月で子を帯同して復帰

 2人の娘や孫とのショットをたびたびInstagramに公開し、「可愛すぎるおばあちゃん」として話題になっている森尾由美。17歳でデビュー以来、結婚・出産を経ながら芸能界の第一線で活躍し続けており、中でもフジテレビ系トークバラエティ『はやく起きた朝は…』(『はや朝』)は94年放送開始の前身番組から数えると今年で30周年を迎える長寿番組だ。

「(『はや朝』の前身番組は)長女が1歳になる年に始まりました。実家の母に預けられないときには『すみません』と頭を下げて現場に連れていったことも。ありがたいことにここの現場は受け入れてくださって、そんなアットホームさも長く続いている理由かもしれません。ただほかの現場では『子どもを連れてくるなんて』と言われたこともありましたね」
 ”寿退社”という言葉が一般的だった当時、女性タレントも結婚・出産で仕事をセーブ、あるいは引退するケースが少なくなかった。

「特にアイドルは結婚したら『需要がなくなる』のがセオリーだったんです。また所属事務所でも当時は独身の女性タレントしか扱ったことがなかったため、『どうプロモーションしていいかわからない』とかなり戸惑ったようです。だけど私は欲張りかもしれないけど、仕事と育児どちらかだけを選ぶことはできなかった。『必ず結果を出しますから』と事務所を説得しましたが、ブランクが開く不安もあったので、長女を出産した1ヵ月後には仕事に復帰しました」

 さらに次女が誕生した99年には代表作の1つであるドラマ『大好き!五つ子』シリーズが開始。ますます充実する仕事と育児を両立させながら、約30年を駆け抜けてきた。

「ただ、今になってふと『なんで0〜1歳の成長の早い時期にもっと長く一緒にいてあげられなかったんだろう』と反省することもあるんです。あのときの私の決断が間違いだったとは思わないし、そういう時代だったと言えばそれまでですが、(一般企業に勤務する)長女がしっかり育休を取得して孫と幸せそうに過ごす姿を見ると、羨ましくなることもあるんですよね」

両立の裏で娘に不憫な想いも…研鑽を積んで見出した”そこそこの合格点”

 夫はアメリカを拠点に仕事をする一般男性。一時期は森尾も渡米し、3週間に一度のペースで帰国して仕事をするというパワフルな生活を送ってきた。「若さと勢いで乗り切ってきた」と笑う。

「ただ“二兎を追う者”の宿命というか、中途半端なことも多かったと思います。育児と仕事を完全に両立できていたかというと──。仕事がうまく行っているときほど娘たちには不憫な思いをさせてしまっていたかもしれません。先日も娘とアルバムを整理してたら、私の記憶のない写真がいっぱい出てきて。『ママ、このときは忙しかったもんね』と娘に言われて、『ごめんね』となりました。恨みがましくではなく、冗談めかして言ってくれたのが救いでしたけどね」

 忙しいながらも愛情いっぱいに子育てをしてきたことは、Instagramの投稿や『はや朝』でたびたび語られる娘たちとのエピソードからも伺える。
「もちろん娘たちも人並みに反抗期はありましたし、私も育児と仕事でいっぱいいっぱいで子どもに当たってしまったこともありました。そうした失敗と反省をたくさん繰り返して、これがベストかなと思った選択が『仕事を家庭に持ち込まない』こと。現場から家に帰るまでの間にカフェでひと息入れるとか、台本は家で読まないとか、そうすることで仕事モードから母親モードに切り替わるんですよね。よく男性が職場からまっすぐ家に帰らないで、居酒屋に寄ったりするじゃないですか。あの気持ちがよくわかりました(笑)」

 仕事も育児も”完璧”ではなく、”自分なりのそこそこの合格点”を目指すこと。それが両立の決め手だったと振り返る。

「今はいろんな育児支援サービスが充実していますが、唯一『当時の方が良かった』と思えるのが、SNSがなかったこと。長女も初めての子育ての不安から、何かとSNSを見てしまっていた時期があったようです。だけどSNSで目に入ってくるのは“完璧”に見える子育てばかり。それでプレッシャーを感じるくらいなら『あまり見ないほうがいいんじゃない?』と勧めているんです。子育て環境は人それぞれだし、他人とは比べようがないもの。『今日は○○ができたから合格』とか、自分で設定した“そこそこの合格ライン”をクリアすればそれで十分よって。気持ちはすごくわかるんですけどね。私も心配性なほうなので、当時SNSがあったら怖かったなと思ったりします」

”祖母”として孫の育児への介入は?「古い考えを下の世代に押し付けないこと」

 森尾が結婚した1993年当時から女性の社会進出ははるかに進み、育児と仕事を両立する女性も増えた。長女も近々、育休が明けて職場復帰をするという。

「私は実家の母が協力してくれたこともあって仕事に邁進できたし、娘たちもおかげさまで元気に育ってくれました。もちろん親御さんの協力を仰げないママさんもいらっしゃると思うけど、なんとか一人で抱え込まないでいられたら──。アメリカに住んでいた頃はシッターさんもよく利用していました。日本では『シッターさんに預けるなんてかわいそう』という風潮もありましたが、その辺アメリカ人は合理的。『ママがハッピーなら子どももハッピー』という考え方で、美容院に行くだけでもどんどん預けるんですよね」

 母でも妻でも仕事人でもない自分だけに戻れる時間と空間を、女性たちが罪悪感なく持つことができる。そんな社会を醸成するためには何が必要なのだろうか?

「やっぱり悪しき風潮は断ち切るじゃないけど、『私たちの時代はこんなに大変だった、頑張ってきた』みたいに下の世代に押し付けないことじゃないかなと思いますね。子育ての考え方も時代によって変わりますから押し付けない。だから孫のケアも基本的には娘と旦那さんがすればいいと思っているんです。ただ私は娘にハッピーでいてもらいたいので、そのためのバックアップは全面的にしたいですね。いくつになっても娘が私の子どもであることに変わりはないですから」
(取材・文/児玉澄子)
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