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「不幸だったオオカミ犬と子猫」が出会ったら? 獣医師が飼い主なのに病気に…やっと見つけた居場所

2023-11-16 16:30 eltha

 多くの猫を保護しているNPO法人『ねこけん』には、実は犬も何匹かいる。ひときわ大きな体なのが、オオカミ犬の「コマちゃん」だ。コマちゃんは、実は獣医師の元から保護されてきたというが、一体なにがあったのか? 子猫たちを癒してくれる優しいコマちゃんについて、代表理事・溝上奈緒子氏に聞いた。

オオカミ犬・コマちゃんに甘える子猫(写真:ねこけんブログより)

オオカミ犬・コマちゃんに甘える子猫(写真:ねこけんブログより)

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■獣医師に飼われていたのに…、構ってもらえなかったオオカミ犬の命の危機

 猫の愛護団体である『ねこけん』だが、そこには犬も暮らしている。それが、オオカミ犬の「コマちゃん」だ。2015年に生まれた女の子で、『ねこけん』には5年ほどいるそう。ブログには、猫たちの様子ととともに、時々コマちゃんの写真も投稿されている。なぜこんなに大きな犬が、猫の愛護団体にいるのだろうか。

 「コマちゃんはもともと保護犬でした。オオカミ犬という珍しい犬種なのですが、実はもともと獣医師の方が飼っていた犬なんです。でも、あまり良い飼い方をされていなかったようで…」

 オオカミ犬は“ウルフドッグ”とも呼ばれ、オオカミの血を受け継いだ超大型犬。それだけに、長距離の散歩が必要だったり、しつけが大変だったりと、飼育はなかなかに難しい犬種だ。そんな犬種を選ぶあたりが獣医師ならでは…と思いきや、その先生は忙しさもあり、あまりコマちゃんを構ってはあげられなかったらしい。

 「コマちゃんはいつも、ペット用のサークルの中に入れられていたんですが、放すとイタズラしてしまう。ただ、そうして飼われているときに突然高熱を出し、肝臓の数値が悪くなって黄疸も出てしまったんです。それを見たうちのボランティアメンバーがかわいそうに思い、お金も出して病院に駆け込みました。このときは誰もが『コマ、死んでしまう…』と思ったそうですが、何週間もERに入院し、なんとか一命を取りとめることができて。そのまま引き取ることになったのです」

 獣医師に飼われる動物となれば、健康面にもさぞ気を配ってもらえるように思うが、「獣医師だからといって、誰もが動物愛護の意識が高いとは限らない」と、溝上代表は明かす。

 「忙しくて…というのはあったのかもしれません。ただ、コマちゃんは避妊手術さえされていませんでした。『ねこけん』に来てから、オペをしたんです」

猫「コマちゃ〜ん、点滴痛かったよ〜」(写真:ねこけんブログより)

猫「コマちゃ〜ん、点滴痛かったよ〜」(写真:ねこけんブログより)

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 こうして、『ねこけん』にやってきたコマちゃん。今では朝夜たっぷり散歩をさせてもらいながら、猫たちとともにのんびりと生活。その様子は時おりブログでもアップされている。最近では、点滴を受けた子猫が、「コマちゃ〜ん、背中にちっくんされた」とでも訴えるようにコマちゃんの元に寄っていき、慰めてもらう様子が投稿された。子猫はコマちゃんのお尻の上に乗っかり、そのまま数時間お休みしたそうだ。

 「オオカミ犬という大きな犬と子猫というと、心配される方もいるかもしれませんが、むしろ大の仲良し。コマちゃんは子猫が好きですし、子猫もコマちゃんが大好きと、すごくうまくやっていますね。猫と犬はお互いの感染症にもかかりにくいので、その点でも安心です」

 いじけた子猫を優しい目で見つめ、自分の体で癒してあげるコマちゃん。とてもおっとりした犬のように見えるが、「自分より上だと思った人間には従順ですが、見下している人間の言うことは聞きません(笑)」とのこと。

 そのあたりも、野生の資質を多く残すオオカミ犬ならではかもしれない。とはいえコマちゃんは、今日も猫たちと一緒に幸せに暮らしている。



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